2007年12月06日

第35章 感想と気になる点

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これまでのさまざまな謎がハリーとダンブルドアとの問答によって明らかにされましたが、それよりまず、この章は何なのかという大きな疑問がわいてきます。わたしはハリーの臨死体験ではないかと思います。駅と言うのは、しばしば映画などでも、生死を決定するあの世の場所として描かれることがあるようですし、ダンブルドアというすでに先立った人のお迎えが来るというのも、よく聞く話です。また、洋服がほしいと思うと即座に洋服が現るとか、思ったことがそのまま現実になるというのも、また、長い時間が経ったようでそうではなかったりとか、時間の感覚がこの世と異なるというのも、天国の様子のようです。最後にハリーはこれは現実なのか?それとも自分の頭の中で起こっていることなのか?とダンブルドアに聞きますが、これはたいへん意味深い哲学的な問題だと思います。これに対して、ダンブルドアは「もちろん、頭の中で起こっていることだ。だが、だからといって、それが本当ではないとどうしていえるのか?」と答えています。

次に、この場所にいる生き物は何なのでしょうか?ハリーの魂にくっついていたヴォルデモートの魂の一部だとわたしは思います。ヴォルデモート本体の魂ではないかという説もあるようですが、もしヴォルデモート本体の魂であったら、ハリーと一緒の場所にはいられないのではないでしょうか。それに、ダンブルドアはそれを救うことはできないと言っていますし。

この章では大きな救いがありました。33章・34章での最大のショックはダンブルドアがハリーの死を計画していた、ハリーが死ぬことを期待していたということでしたが、この章では、ハリーがたぶん生き返れるということをダンブルドアは察していたという事実がわかりました。ハリーは「最初からそれを知っていたのか?」とダンブルドアに聞いていましたが、最初からそれを知ってダンブルドアがハリーの死を計画していたということは、ハリーにとって大きな救いとなったのではないかと思います。しかし、だったら、それをスネイプに言っておいてもよかったのに。それを聞いたらスネイプも、あんなにショックを受けなくて済んだのにという気がします。

この章ではダンブルドアの口からアリアナの死んだ経緯やグリンデルバルト征伐についてが語られましたが、リタ・スキーターの本がこんなに真実に近かったのは驚きでした。キャラクターの二面性についてこれまでもkmyさんが指摘されてきましたが、7巻の感想としてブログの『憂いの篩』の中でおっしゃっているように、ダンブルドアのキャラクターの反転にはショックすら覚えます。この章ではダンブルドアの弱さが特に強調されていて、ハリーのほうがダンブルドアよりもずっと偉大な存在なのではないか、死の秘宝の所有者としてずっとふさわしいのではないかという印象すら受けました。

また、ヴォルデモートが死の秘宝について知っていたのかということをハリーとダンブルドアが話し合う場面があります。復活の石をホークラックスに変えたことからすると、知らなかったに違いないというダンブルドアの意見は、これまで思っていたとおりでしたが、知っていたとしても、魔術に長けたヴォルデモートにはInvisibility Cloakは必要なかったし、ヴォルデモートは死者を恐れていたし、第一蘇らせたいと思うような人はいないので、復活の石を手に入れたいとは思わなかっただろうという説には納得しました。

この章ではまた、スネイプがニワトコの杖を持つことをダンブルドアは計画していたというとても興味深い事実がわかりました。これは単に前所有者であるダンブルドアを殺した者という通説に則った意味合いとしてではなくて、事実上杖を保有するという意味合いだと思います。ということは、ダンブルドアは、死ぬ前にスネイプに自分の杖を取るように言い含めておいたのでしょうか?(5巻で、塔の上でドラコがダンブルドアの手から杖を落としますが、その後、この杖はどこに行ったのでしょう?)もし、スネイプが杖の持ち主となったのなら、杖をダンブルドアと一緒に葬ったのはスネイプということになるのでしょうか。だとしたら、スネイプはニワトコの杖の本当の意味とヴォルデモートがその杖を後に狙うようになるだろうことを知らなかったということになるのではないでしょうか。ダンブルドアの墓に一緒に埋めたくらいで、ヴォルデモートが躊躇するとスネイプが考えるだろうとは思えないからです。もし知っていたら、もっと安全なところに保管したでしょう。スネイプは果たしてニワトコの杖の意味を知っていて、前所有者を殺した自分の命をヴォルデモートが狙うようになるとわかっていたのか、とても疑問に思います。

この章では特にダンブルドアのセリフに興味深いものがあったのですが、この章以降は「気になる英語表現」は後回しにして、まずあらすじと感想だけをアップしていきたいと思っています(ブロードバンドが開通したら、さかのぼって「気になる英語表現」をアップしていく予定です)。
posted by みちえ at 01:25| Comment(7) | TrackBack(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この章は読むのに苦労させれました。しかしとても重要な謎解きが含まれているので何度も読み返してしまいました。ダンブルドアの言葉は本当に難しいですね!

まず、あの世とこの世の間の場所がキングスクロス駅であるというのはハリーにとって、マグル界から魔法界への旅立ちの場所だからかな?・・・と、思っていたら作者自身が”これはあくまでハリーにとってのイメージです。”語られていました。個人のイメージが反映されるという事なのでしょうね。

謎の生物については掲示板に書き込みした後も考えたのですが、やはりハリーの中にあったヴォルデモートの魂の欠片と見る方が文章としても矛盾が無いように感じ私もその説に落ち着きました。

いろいろコメントをしたい章ではあるのですが先のネタばれが含まれそうでドキドキするのでこれ以上はやめておきます。(次の章では気にせず書き込みできるかな?)
Posted by Root at 2007年12月07日 23:32
Rootさん、お気遣いくださってどうもありがとうございました。
無責任にも疑問点をたくさん書いてしまいましたが、その後で、お答えのコメントにネタばれがあると困るなと思っていたところでした。ご配慮くださって、たいへん感謝しています。次の章でのコメントを楽しみにしていますので、ぜひ書き込んでくださいね。
"This is your party"というようなダンブルドアの言葉もありますし("your"が斜字体で強調されていました)、キングスクロス駅はハリーのイメージなのでしょうね。心の中で思ったことが何でもそのままに現れるあの世らしいと思いました。
ダンブルドアの言葉はまた後でゆっくり取り上げますので、一緒に考えてみていただけるとうれしいです。
Posted by みちえ at 2007年12月08日 01:48
ここはやはり読み返さないと、と思いつつなかなか読み返しができていません。
ニワトコの杖とスネイプ、ダンブルドアの意図について詳しく述べられていて、改めて考えてみようと思いました。
ヴォルデモートはニワトコの杖を狙うだろうという予測はしていたというのであれば、ハリーが(助かる見込とは言わなかったものの)犠牲ならなければとスネイプに話していましたが、逆にスネイプの死ぬであろうことをダンブルドアはどのくらい認識していたのか、スネイプ自身で犠牲になってもかまわないと話がついていたのか、あまりわたし自身で読み取れていないです。
Posted by kmy at 2007年12月08日 15:01
次の章や気になる英語表現ではみちえさんの解釈に注目しています。そしてクライマックスに向けての議論、ぜひ参加させてくださいね!

それから後一つ、ここで私の考えを書き込みさせて下さい。(ネタばれにはならなそうなので)
ダンブルドアがスネイプに「ハリーはおそらく死ぬことは無い」という事を教えなかったのは、(KKさんもご指摘されていましたが)スネイプがハリーに記憶を渡す事を予想していたからだと思います。ハリーはスネイプを信用していませんから今更信じろと言っても耳を傾けないはずです。なので、記憶を観せるのが最良の方法だとダンブルドアもスネイプも考えていたのだと思います。
スネイプはある程度の記憶の整理はしていたのだと思いますが、咄嗟に出したため恐らくスネイプにとってハリーに知られたくない記憶も渡してしまったのではないでしょうか?シリウスの部屋での場面は特に知られたくなかったと思います。
ダンブルドアはハリーが死を覚悟した状態でヴォルデモートの元へ行かせたかったでしょうから、スネイプの記憶から生の可能性がある事をハリーに知られるのを防ぐためスネイプには言わなかったのだと思います。
Posted by Root at 2007年12月08日 22:25
kmyさん、コメントありがとうございます。ニワトコの杖に関するダンブルドアとスネイプとの思惑については、わたしも疑問がいっぱいです。次の章でもう少しはっきりするといいのですが。

Rootさん、再び興味深いコメントをありがとうございました。スネイプからハリーに漏れることを恐れて、ダンブルドアはスネイプに言わなかったのかもとわたしも考えてみましたが、生き返れると知っていたら、逆にハリーはもっと確実に、杖で自分を守らずに潔く死ねたのではないかと思いました。でも、自分が生き返れるとわかっていたら、自己犠牲ではなくなりますよね。また、ダンブルドアも"I guessed"と言っていましたし、100パーセントハリーは生き返れるとわかっていたわけではなかったので、こんな大切なことを事前にスネイプ、そしてスネイプを通してハリーに明らかにすることはできなかったのかもしれません。
Posted by みちえ at 2007年12月08日 23:48
ローリングさんが公式サイトでこの生き物の質問がFAQであって答えていますが、たぶんーthe last piece of soul Voldemort possessesーというのはヴォルデモート自身の魂のことと思うのですがどうでしょう?
私は以前に掲示板でこの生き物はハリーの中にあったものではなくて、ヴォルデモート自身の魂だという意見に賛成していたのですが,それでよかったということになるのでしょうか?
Posted by まめ at 2007年12月10日 23:53
まめさん、コメントをどうもありがとうございます。
公式サイトは見ていないのですが、その表現からすると、ヴォルデモート自身の魂のようですね。でも、この章だけ読むと、どうしてもこの生き物はハリーの中にあったヴォルデモートの魂のようにしか解釈することができません。だんだんと、ハリー・ポッターに対する疑惑が深まるわたしです。
Posted by みちえ at 2007年12月11日 00:06
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